新卒採用の現場では、男性よりも女性が評価される傾向?
先日、ある大学の総務部長から「海外から学びにきている留学生の奨学金受給は女性の割合が高い傾向にある」という話を聞きました。さらにお話を聞くと、どうやら対象の奨学金は留学生全員が受給できるわけでなく、留学生全体の上位に対して奨学金を出している場合において、ということでした。
その話を聞いてすぐに思い浮かんだのは、採用現場における女性の優秀さです。みなさん面接では理路整然としゃべり、的確に返答してきます。熱意や自分の強みのアピールも上手に織り込んで話をされます。
もちろん男性でも優秀だと感じる方はおられます。しかし、女性の方がそのように感じる割合が高いように感じるのです。
私の周りの採用や学校教育に携わる方でも、同じように感じている方は複数おられます。多くの人が同様の感じ方をしているのならば、企業が取り組むダイバーシティ&インクルージョン(D&I)が、女性を積極的に評価するという無意識のバイアスになっているということもないでしょう。
では一体なぜでしょうか?
今回は「新卒採用現場において、なぜ女性の方が優秀と感じるのか?」について考えて、この謎を解き明かしてみたいと思います。
女性自身と企業側の意識の変化
様々な調査で女性の仕事に対する意識の変化が明らかになっています。子供ができてもずっと仕事を続ける方が良いと考える女性は年々増加していますし、管理職を目指したいと考える女性は若い世代ほど多くなっています。


そして採用サイドも女性だから補助的業務を前提に一般職として採用するという考え方から、男女の差なく優秀な人材を採用するという採用スタンスに変化しています。となれば、女性がキャリアアップを望み、子供が生まれても働きたいという考え方に変化してきていることは、面接時の女性の受け答えにも如実に表れているでしょう。
実際、将来のキャリアプランを質問すると、リーダー的立場になりたいと答える女子学生はとても多いです(ただし男性も多いです)。
リーダーに必要な項目の多くで、女性は男性よりも能力が高い
Harvard Business Reviewの2019年の調査「女性のリーダーシップ能力は総じて男性よりも高い」では、「リーダーシップ能力に関する測定項目の大半で、女性のほうが男性よりも―差異は大きくないものの―統計的に有意な水準で高いスコアを出した」と説明されています。
この調査によると、優秀なリーダーに必要な19項目の内、なんと17項目で女性が男性を上回っているのです。

出典:DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー https://dhbr.diamond.jp/articles/-/6035
女性が男性を上回った17項目では、あまり差が大きくない項目もありますが、イニシアチブを取ること、結果を出す意欲、人への動機付け、リーダーシップ、人間関係の構築などは相応に差があることが見て取れます。
その一方で、男性は戦略的視点とプロとしての知識の2つが女性を上回りましたが、その差は最大で1.4ポイントであり、大きいとは言えないものでした。
そして、これら優秀なリーダーに必要な19項目は、採用時の人事担当者の評価項目ともリンクするでしょう。したがって、書類選考をはじめ、SPIや面接でこれらの差が表れていると考えることができそうです。
準備と計画性の差
一般に女性は面接に際して入念に準備を行い、計画的に臨む傾向が見られると言われています。そうすると面接で自信を持って自分をアピールできる可能性が高まります。
私自身も、特に早い時期の面接だと企業研究と自己分析で大きな差を感じます。女性の方がしっかりと準備して臨んでいるなと感じる割合が高いです。また、まだ面接経験に乏しい時期のはずなのに、堂に入った対応でしっかりと面接シミュレーションを行ってきたなと感じるのも女性の方が多いのです。ですが、これは個人の感じ方の域をでず、裏付けになりそうなデータを見つけることはできませんでした。
ただ、個人的には、ここが一番の男女差を感じるところなのですが・・・
まとめ
ここまでの検討結果から、これら3つの要因が組み合わさることで、多くの面接官が女性の方が優秀と感じていると考えられそうです。もちろん個々の能力や性格によって異なりますし、企業によって評価のモノサシも異なりますので、全ての場合に当てはまるわけではありませんが、男性よりも女性の方が優秀であるという感じ方が、単なる主観ではないことを示唆するものではあるでしょう。
果たして皆さんの会社ではいかがでしょうか?
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。