恐れのない組織

2025.02.24
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本の概要

タイトル：恐れのない組織　「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらす
著者等：エイミー・C・エドモンドソン （著）、野津智子（翻訳）、村瀬俊朗（解説）

日本の人事部主催　HRアワード2021書籍部門優秀賞受賞！
『チームが機能するとはどういうことか』の著者であり、2011年以来、経営思想家ランキング「Thinkers50」に選出され続けている、エイミー・C・エドモンドソン教授最新刊！

篠田真貴子氏(エール株式会社取締役)推薦!
「心理的安全性ってそういうことだったのか!
心理的安全性の解釈が人によって違うことが気になっていた。しかし、本家本元による本書を読んで、すっきりと整理ができた。心理的安全性とは個人の資質ではなく集団の規範、ぬるい環境というよりもむしろ成果志向の環境なのだ。失敗と成功の事例を通して、このコンセプトへの理解が深まり、実践への示唆が得られるだろう。「恐れ」から解き放たれれば、私たちはもっと大胆に行動できる。」

Googleの研究で注目を集める心理的安全性。
このコンセプトの生みの親であるハーバード大教授が、 ピクサー、フォルクスワーゲン、福島原発など様々な事例を分析し、 対人関係の不安がいかに組織を蝕むか、 そして、それを乗り越えた組織のあり方を描く。


あらすじ

　著者のエドモンソン教授は、心理的安全性を「チームにおいて、他のメンバーが自分が発言することを恥じたり、拒絶したり、罰をあたえるようなことをしないという確信をもっている状態であり、チームは対人リスクをとるのに安全な場所であるとの信念がメンバー間で共有された状態」と定義している。そして、恐れのない組織とは心理的安全性がある組織であり、つまり対人関係の不安を最小限に抑え、チームや組織のパフォーマンスを最大にできる組織だと述べています。

　本書ではグーグルの調査結果も引用し、具体的な事例と研究結果を用いて、心理的安全性を築くためのリーダーシップと実践的アプローチが紹介されています。

学びと共感

①「勘違いしがちなのは、心理的安全性があるからといって、結果を問われないわけではない」という　指摘は本当にそうで、心理的安全性が耳目を集めるのも、企業成長と反しない概念であるからに他なりません。心理的安全性があるからといって、いわゆるぬるい職場と同義ではないことはやはり前提になってきますよね。この点はマネジャーでない方も誤解がないように留意いただきたいポイントです。

②「心理的安全性を高めるという大変な仕事が甘く考えられてしまっている」という指摘もご尤もだと身をつまされる思いです。 いくら優秀な人材を採用しようが、いくらダイバーシティに富んだ組織を作ろうが、心理的安全性のない職場では能力を発揮できません。だからこそマネジャーは恐れのない組織づくりに注力しないといけないし、その上司もそれを理解しなければなりません。

　心理的安全性を高めるという仕事はリーダーの仕事の本質であり、とても難易度が高い重要な仕事なのです。ここは自分自身を含め、ぜひマネジメントの立場にある全ての人に伝えたいポイントになります。

③「不安にはやる気を引き出す力があると、多くのマネジャーが信じている」

　例えば、失敗した時に罰を与えると脅せば、人が頑張ると思っているマネジャーは確かにいるでしょう。不安を与えるマネジメントは部下の行動を表層的にコントロールすることができるので、マネジャーからすると楽でしょうが、不安が部下のやる気を引き出す要因になることはありません。エンゲージメント上も大いにマイナスに働きます。理屈ではわかっていても、できていない方が、意外におられるかもしれません。 

④ドキッとさせられたのは、「大事な局面で従業員が意見を言えずにいることは、見た目にはわからない。意見を言えずにいることがわからないために、軌道修正ができない。」という点です。

　ここから考えると、日頃の報告がない＝順調で問題がないと捉えるのも危険で、単に心理的安全性がないために報告がなされていないだけとも考えられます。果たして自分の部下は意見を言えているのかいないのかどちらでしょうか。今はエンゲージメントサーベイ等で、自分が管掌する組織の心理的安全性を見える化できるので、こういうツールが導入されている企業のリーダーは是非ツールを活かして把握しておきたいですね。

⑤「自信と謙虚さは反対語ではない。自分は全てを知っていて未来を見通すことなどできないと認めよう。」

　一昔前のマネジャーは全能感を求められていました。何でも知っていて当然、問題が起きればマネジャーが解決する方法を知っていないといけませんでした。しかし仕事が高度化・専門化した今、マネジャーも知らないことがあって当然ではないでしょうか。

　アメリカゼロックスのCEOマルケイヒ―が、ハーバードビジネススクールでエグゼクティブたちに話をした際、「知らないと認めると、信用を失うどころか、逆に信用を得ることになる」と語っていますが、「知らないと認める勇気」こそ現代のマネジャーに求められる資質なのかもしれません。


　お読みいただき、ありがとうございました。

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