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平均残業時間一覧 Part.8

平均残業時間 人事・総務の話題

当然ですが、どの会社も従業員ごとに残業時間数は異なります。
そしてまた当然ですが、個人別の残業時間数を社外に公開している企業はありません。
だいたい全社(全従業員)の平均残業時間の開示に留まっているケースが大半でしょう。

全社の平均残業時間も参考になるのですが、ここには平均値の罠が潜んでいます。

「平均値の罠」の具体例

  • 総合職: 1,000人、平均残業45時間/月
  • 一般職: 1,000人、平均残業5時間/月

この場合、全社の平均残業時間は {(45×1,000)+(5×1,000)}÷2,000=25時間/月 になります。

「月平均25時間」という数字だけを見ると、それほど多くないように感じるかもしれません。
しかし、総合職として入社を考えている人にとっては、実態(45時間)とは大きくかけ離れた数値になってしまいます。

このように総合職の残業が多いのに、残業が少ない一般職との平均で算出されて、全体ではそれほど長くない数字になってしまう(薄まってしまう)ということは、往々にしてあります。

そしてこの平均残業時間は、総合職、一般職、嘱託などの雇用上の”管理区分”や”所属部門”ごとに傾向が表れやすくなっています。

したがって、平均値の罠に騙されないよう、これから就職活動をされる方は全社の残業時間だけでなく、雇用区分や部門ごとなど細分化された単位で平均残業時間を確認すべきです。

また、企業側も全社のみならず、さらに細分化した単位で情報開示をした方が、自社のワークライフバランスの現状についてより正しく伝えることができ、適切に残業時間をコントロールできている企業にとっては、良いアピールになるのではないでしょうか。

人的資本の情報開示(有価証券報告書における記載義務化など)が進んで、以前よりも残業実態は把握しやすくなりましたが、それでも外部から企業の詳細な残業実態を把握することは容易ではありません。

今回は、企業の残業実態に少しでも近づこうと、女性の活躍推進企業データベースのオープンデータ(2025年7月1日時点)を独自加工して、各企業で最も平均残業時間が多い雇用区分を抽出し、一覧表にしました。

是非、参考にしてみてください。

  • 女性の活躍推進企業データベースオープンデータ(2025年7月1日時点)を加工して作成。
  • 全データから、プライム上場企業を抽出
    (プライム上場企業でも、DB登録時に市場を入力していない場合は抽出できていません)
  • 雇用管理区分の詳細開示がある場合、最も平均残業時間が多い雇用区分のデータを抽出。
  • 雇用管理区分の詳細開示がない企業は、開示データ(全社平均)をそのまま記載。
  • 平均残業時間の開示がない企業は一覧表の掲載から除外。
  • HDは、傘下の中核会社のデータの場合あり。
  • 全社平均の数値と最も残業時間が多い雇用区分の数値に差がない場合、「全社平均との差」欄に「なし」と表記(データが全社平均のみの開示であったり、社員とアルバイトなど多様な雇用区分が存在する場合で社員の残業時間を平均残業時間として開示するなどの場合)。

集計の結果、プライム上場企業 計400社の平均残業時間を抽出できました。

東証によると、2025/7/2時点のプライム上場企業は全部で1,624社ですので、約1/4の企業が該当データをサイトに開示していることになります。意外と(やはり?)開示していない企業が多いですね。

参照元サイトでの平均残業時間の開示が義務ではないから、または単に手間だから、あるいは残業時間が多くて積極的に開示したくないからなど、理由は様々だろうと思われます。

ただ、、プライム上場企業でも、DB登録時に市場を入力していない場合は抽出できていませんので、ここも影響しているものと思われます。

それでも400社は多いので、証券コード順で業界別に分けて特集いたします。

運輸・通信・放送・ソフトウェア業界

証券コード企業名最も残業が多い
雇用管理区分の
平均残業時間
該当の
雇用管理区分
全社平均との差
9008京王電鉄株式会社28.8一般職0.8
9021西日本旅客鉄道株式会社13正社員なし
9031西日本鉄道株式会社19.9対象正社員なし
9041近鉄グループホールディングス株式会社13.3対象正社員なし
9042阪神電気鉄道株式会社29.4正社員、有期契約労働者なし
9066株式会社 日新28.3正社員(現業職員)16.7
9107川崎汽船株式会社7.7総合職0.9
9119飯野海運株式会社18.3陸上総合職2.9
9216ビーウィズ株式会社28.6正社員エリア1.1
9347日本管財ホールディングス株式会社7.5正社員0.4
9381株式会社エーアイテイー16対象正社員なし
9416株式会社ビジョン20.6正社員(営業)不明(雇用区分別の開示のみ)
9433KDDI株式会社25.4総合職:技術系1.3
9449GMOインターネットグループ株式会社9.6正社員なし
9450株式会社ファイバーゲート18.4正社員なし
9470株式会社学研ホールディングス3.7正社員不明(雇用区分別の開示のみ)
9474株式会社ゼンリン6.1正規従業員なし
9503関西電力株式会社20.6社員なし
9504中国電力株式会社25対象正社員なし
9506東北電力株式会社23.1正社員なし
9513電源開発株式会社23.3正社員1.1
9519株式会社レノバ12.3対象正社員なし
9551メタウォーター株式会社23.7正社員(理系)0.7
9600株式会社アイネット16.6正社員なし
9601松竹株式会社6.7期間の定めのない労働者(正社員・専門職社員)なし
9616株式会社共立メンテナンス21.2対象正社員なし
9621株式会社建設技術研究所13.1総合職(技術)9.2
9627株式会社アインホールディングス8.2契約社員1.2
9682株式会社DTS23.7正社員(エンジニア)2
9692株式会社シーイーシー20.2正社員(技術)1.1
9716株式会社乃村工藝社32.1正社員4.6
9722藤田観光株式会社15正社員なし
9739NSW株式会社19正社員なし
9755応用地質株式会社7.7基幹職Jクラス0.1
9757株式会社船井総研ホールディングス4.5対象正社員なし
9757株式会社船井総合研究所3.1ビジネス職1.4
9759株式会社NSD20.2正社員なし
9793株式会社ダイセキ42総合職※5
9830トラスコ中山株式会社20.9対象正社員なし
9837モリト株式会社6.2正社員なし
9946ミニストップ株式会社19.5正社員(時間外対象者)なし
9948株式会社アークス8.6正社員0.1
9960東テク株式会社35.2総合職2.6
9962株式会社ミスミグループ本社36.7ディレクター(管理監督者)16.8
9962株式会社ミスミ19.9全社員区分(A~C区分)なし

一覧表は証券コードの若い順に記載しておりますが、証券コードとは業種ごとに与えられる番号が異なるなど一定のルールが存在します。

証券コード・該当業種・本記事の番号・掲載企業数の対応表を添えておきますので、よろしければご活用ください。

証券コード業種記事の番号掲載企業数
1,300番台水産・農林業Part.12社
1,500番台鉱業Part.10社
1,600番台石油ガス開発Part.10社
1,700~1,900番台建設Part.123社
2,000番台食品Part.133社
3,000番台繊維・紙パルプPart.236社
4,000番台化学・薬品Part.351社
5,000番台資源・素材Part.429社
6,000番台機械・電機Part.576社
7,000番台自動車・輸送用機器Part.645社
8,000番台金融・商業Part.760社
9,000番台運輸・通信・放送・ソフトウェアPart.845社

なお、最近では番号が不足してきたこともあり、新規上場株には業種に関係なく番号が与えられることが多くなっています。よって厳密に業種が分類されているわけではありません。

この点にも、ご留意をお願いいたします。

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