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FACT FULNESS

本の概要

タイトル:FACT FULNESS
著者等:ハンス・ロスリング、オーラ・ロスリング、アンナ・ロスリング・ロンランド
出版社:日経BP 

あらすじ

 『FACT FULNESS』は、ハンス・ロスリングらによる、データに基づいて世界を正しく理解するための指南書です。私たちは、メディアの影響や本能的な思考パターンにより、世界を実際よりもネガティブに捉えがちです。本書は、そうした思い込みを覆し、事実に基づいた世界の見方を提示します。

 ロスリングらは、世界の現状に関する質問の正答率が低いことを示し、人間がいかに誤解に基づいて世界を捉えているかを明らかにします。そして、それらの誤解を生み出す10の「本能」(例:分断本能、ネガティブ本能、恐怖本能など)を解説し、それらに対抗する方法を提示します。

 世界の現状は、私たちが想像するよりもずっと良い方向に進んでいます。極度の貧困は減少し、平均寿命は延び、教育機会も拡大しています。しかし、これらの「静かな進歩」は、メディアではあまり取り上げられません。

 データを正しく読む習慣を身につけると、世界は確実に改善されている事実が見えてきます。著者は「事実認識こそが希望の源泉である」と強調して説きます。

 本書には、事実に基づく思考法がビジネスから日常判断まで幅広く応用可能だというメッセージが込められています。

学びと共感

 ビジネス書大賞2020大賞受賞作ということもあり、興味を持ちました。 

  読んでみると、自分の考えや価値観にそぐわない事実を排除するのではなく、入ってくる情報をクリティカル(健全な批判的精神であり客観的な思考)に捉え、正しく事実を知り、事実に基づいて考えることの重要性を痛感させられる内容で、タイトル通りでした。

 仮に正しく判断できる能力があったとしても、その前提になる事実を正しく認識しなければ、判断は自ずと間違ったものになってしまいます。
 このように書くと当たり前のことのように聞こえるかもしれませんが、それが丁寧に説明されています。
 本書を読みながら、自らが正しく事実認識できているかと自問自答させられました。 

 また、本書では恐怖本能、直線本能、ネガティブ本能、過大視本能など、陥りやすい10個の思い込みが紹介されています。 

 例えば、文中に「めったに起きないことの方が頻繁に起きることよりもニュースになりやすい。注意しないと、実際にはめったに起きないことが、世界ではしょっちゅう起きていると錯覚してしまう」との指摘があります。

 この指摘は、私たちの周りでも頻繁に発生している事象ではないでしょうか。

 例えば、ある時、新しい技術・サービス・制度の導入ニュースが流れると、それが必ず正しいことのように感じたり、その方向にみんなが向かっており、追従しないと取り残されてしまう印象を持ったり、それが多数派であるかのように錯覚してしまう現象は、至るところで生じているはずです。 

 本書の指摘は、常に視点が世界というマクロであることを頭に置きながら、読む必要がありますが、事実を知ろうとする姿勢、入ってくる物事をクリティカルに捉えることの重要性を再確認できます。

 様々な情報がプッシュ型で押し寄せてくる時代で、しかもその情報はAIでフィルタリングされた自分好みの情報に偏ってしまいやすい今の時代だからこそ、重要なことではないかと大いに考えさせられました。

 おすすめの一冊です! 

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