1.「静かな退職」とは?
現代企業を蝕む「見えざるコスト」の正体
近年、人事・経営トレンドとして急速に顕在化した「静かな退職」は、単なるホットワードではなく、労働市場における構造的な意識変容を示唆する現象です。ある調査では、正社員の4割超が「静かな退職」を選択しているという結果も出ています。
これは古くから経営者を悩ませてきた「ぶら下がり社員」や「ローパフォーマー」の問題が、また違った形で表層化したものだといえるでしょう。
「静かな退職」とは、実際に退職届を出すわけではなく、組織に在籍し給与を受け取りながらも、心理的には完全に組織から離脱している状態を指します。彼ら彼女らは雇用契約上の最低限の義務だけを機械的にこなし、それ以上の貢献、例えば業務改善の提案、同僚へのサポート、緊急時の残業などを一切拒絶する社員なのです。
「静かな退職」という働き方も受け入れるべきという意見もありますが、とんでもない話です。こんな働き方に寛容である必要はありません。このような働き方を選択する人材が多数を占めてくると企業の活力は失われてしまい、その企業は衰退していくでしょう。
大企業であれば、豊富な人的リソースによって少数の「静かな退職者」の非生産性を吸収できる余地があるかもしれません。しかし、ギリギリの人員で回している中堅・中小企業にとって、この現象は致命的です。少数の「静かな退職者」の存在は、単なる戦力ダウンにとどまらず、周囲の士気を下げ、組織文化を腐敗させる「癌細胞」のように機能します。
本レポートでは、経営資源の限られた中堅・中小企業がいかにしてこの脅威を検知し、法的リスクを回避しながら排除(代謝)し、かつ再発を防ぐかについて、包括的に検討し実践的な打ち手を提示します。
「静かな退職」の行動様式と心理メカニズム
「静かな退職」を単なる「怠慢」と断じる前に、その行動様式と背後にある心理メカニズムを理解すべきです。「静かな退職者」の行動は、無意識のサボタージュではなく、意識的かつ戦略的な「エネルギーの温存」なのです。
典型的な行動パターン
「静かな退職者」の行動は、一見すると「真面目」に見えることもあるため、発見が遅れます。ですが、詳細に観察すれば以下の特徴的な行動パターンが浮かび上がります。
| 領域 | 典型的行動(静かな退職) | 従来のローパフォーマーとの違い |
| 業務範囲 | 自分が日頃担当している仕事以外は「私の仕事ではありません」と拒否する(本人の意思)。 | いわゆる窓際族は必ずしも本人が望んだ処遇ではない。ローパフォーマーは能力不足で「できない」が、「静かな退職者」は能力があっても「やらない」。 |
| 会議・MTG | 発言を求められない限り沈黙する。チャットやオンライン会議ではカメラをオフにしたがり、反応は最小限。 | 会議に参加しない(サボる)わけではない。またローパフォーマは参加しても貢献できないが、「静かな退職者」は参加しても意識的に「貢献しない」。 |
| 時間管理 | 繁忙期やトラブル発生時であっても、定時退社を徹底する。残業や休日対応は頑なに拒否する。 | 遅刻や欠勤をするわけではない。労働契約上の勤務時間は遵守するが、それ以上は1分たりとも働かない。 |
| 対人関係 | チーム内のイベントへの参加を避ける。同僚の困りごとを見ても手助けしない。 | 職場のトラブルメーカーになるわけではない。単に「透明人間」のように振る舞い、摩擦を避ける。 |
心理的プロセス:期待から諦め、そして遮断へ
多くの「静かな退職者」は、最初からやる気がなかったわけではありません。かつては貢献意欲を持った熱心な社員であったところが、組織に対する「期待の裏切り」を感じた結果、自己防衛として心理的遮断を選択した結果です。
- 熱意と期待
入社当初は貢献意欲を持ち、成果を出そうと努力する。 - 幻滅(心理的契約の不履行)
「頑張っても評価されない」「理不尽な業務過多」「上司の無理解」などの経験を通じて、組織への信頼が損なわれる。 - 学習性無力感
「何を言っても変わらない」「努力しても無駄だ」という無力感が定着する。 - 戦略的撤退(静かな退職)
心身の健康を守るため、仕事への感情移入をやめ、業務を単なる「作業」として割り切る。
2.中堅・中小企業における「静かな退職」の影響
大企業と異なり、中堅・中小企業における「静かな退職」は、経営の根幹を揺るがすリスクを孕んでいます。その影響は財務的な損失だけでなく、組織文化の破壊、将来の成長機会の喪失に至るまで多岐にわたります。
財務的損失と「見えないコスト」の増大
最も直接的な影響は、人件費に対するROI(投資対効果)の悪化です。日本企業でも中堅・中小企業の人事制度は職能等級制度が多く、勤続年数と給与が正比例しがちです。また、人事制度が存在しない企業も多くあります。いずれも給与の下方硬直性が高いため、結果として、企業は「成果を出さない社員」に対して、フルパフォーマンスの社員とほぼ同等のコスト(給与、社会保険料、交通費、オフィス賃料、PC等の設備費)を支払い続けることになります。
さらに深刻なのは、代替コストです。「静かな退職者」が担当すべき業務の不足分は、他の真面目な社員が残業等でカバーすることになります。これにより残業代が増加することは勿論、カバーする社員自身の疲弊を招いてしまいます。
「腐ったリンゴ」現象と組織文化の崩壊
組織心理学において「腐ったリンゴの寓話」として知られるように、一人のネガティブな態度を持つ従業員は、組織全体の規律と士気を急速に低下させる感染源になります。
ハイパフォーマーの離脱
優秀な社員ほど、組織内の不公平感に敏感です。
「なぜ、あの人は定時で帰り、面倒な仕事を拒否しているのに、自分と同じ給料なのか?」「なぜ自分がその尻拭いをしなければならないのか?」という不満が蓄積すると、優秀な人材は「馬鹿らしくなった」と感じ、より公正な評価が得られる他社へと流出します。
結果として、組織には「他に行くあてのない静かな退職者」だけが残留し、組織全体の能力レベルが低下する「悪貨が良貨を駆逐する」状態(グレシャムの法則)に陥ってしまいます。
イノベーションの阻害と変化対応力の喪失
中堅・中小企業の競争力の源泉は、大企業にはない「機動力」と「柔軟性」です。ですが、「静かな退職者」は変化を極端に嫌い、定型業務以外のイレギュラーな対応を拒否します。
新しいプロジェクトの立ち上げ、業務フローの改善、緊急時の顧客対応など、企業の成長や存続に不可欠な場面で、「静かな退職者」がブレーキになります。
3.組織に潜む「兆候」を検知する
対策を講じる前に、自社にどれだけの「静かな退職者(または予備軍)」が存在するかを把握する必要があります。
行動レベルでの兆候(Before/Afterの比較)
現在の状態だけでなく、「過去と比較した変化」を見ることで「兆候」を検知できます。
| 観測項目 | 健全な状態 | 危険な兆候(静かな退職の始まり) |
| 会議での発言 | 自発的な意見、質問が出る。 | 指名されない限り発言しない。批判も賛成もしない「無関心」な態度。 |
| 勤務時間 | 必要に応じて柔軟に残業や早出を行う。 | 業務が終わっていなくても定時瞬間に退社する。(業務上必要性のある)早出や休日出勤を拒否する。 |
| コミュニケーション | 雑談やランチに参加する。 | 事務連絡のみになる。オンライン会議で常にカメラオフ。 |
| 成長意欲 | 新しいスキル習得や研修に前向き。 | 「今のままでいいです」と昇進や新しい役割を拒否する。 |
類似現象との識別(誤診の防止)
例えば、本人が医学的な問題を抱えているにもかかわらず、それを「サボり」と決めつけてしまうことは避けなければなりません。
つまり、対策を実行する上では、「静かな退職」と「メンタルヘルス不調(うつ病など)」の判別が重要です。
判別のポイント
「静かな退職者」は業務外(趣味やプライベート)では元気であり、会社に対してのみ冷淡です。一方、「メンタル不調」は生活全般で無気力になる傾向があると言われます。
「メンタル不調」の場合は、法定のストレスチェックに高ストレス者として引っ掛かるでしょう。勿論、本人同意がないと会社は個人名が確認できないとしても、これも判別の機会の一つになります。
最後は何といっても、直属上長の観察です。接点が多い直属上長がよく観察すれば、該当者が「メンタル不調」か「静かな退職」かを概ね判別できるものです。
4.予防:採用時点のフィルタリング
「静かな退職」をする人材を排除する最も低コストかつ確実な方法は、最初から組織に入れないことです。
面接でのカルチャーフィットの見極め
まずは面接段階で、スキルだけでなく自社の「組織文化(カルチャー)」に合致するかをしっかりと確認します。
そのためにも、「うちは少人数なので、自分の担当外の仕事も助け合うのが当たり前ですが、それに抵抗はありますか?」等、自社の組織文化を事前開示することです。
面接官は相手の反応を見逃さないようにしましょう。仮に見逃しても、こういった自社の組織文化を伝えておくことで、相手は自分に合わないと感じたら、内定を受諾しないか、次の選考を自ら辞退する可能性が高まります。
面接での主体性の確認
そして「やる気はあります」という言葉ではなく、過去の行動事実(コンピテンシー)から主体性を見極めます。クローズドな質問でなく、必ずオープンクエスチョンで問うようにします。
- 有効な質問例
「これまでの仕事で、役割分担が曖昧なタスクが発生した際、どのように対応しましたか?具体的なエピソードを教えてください。」 - NG人材の回答(受動的・他責思考)
「上司の指示を待ちました」「自分の担当ではないので関与しませんでした」
5.入社後の対策:エンゲージメント向上
すでに入社している従業員、特に「静かな退職」予備軍に対しては、それぞれが失望した原因を取り除く必要があります。
原因①「頑張っても評価されない」への対策
中堅企業はともかく中小企業では、大企業のような精緻な人事評価制度を構築・運用するリソースがありません。ですが、社員が求めているのは「複雑な評価シート」ではなく、「自分の貢献が見て見ぬふりをされていない」という納得感です。
これを実感してもらうため、例えば次の対策が考えられます。
- 対策:シンプルな評価と「即時承認」の仕組み
- シンプルな評価シート
複雑なKPIではなく、「業績(数字)」と「バリュー(行動)」の2軸によるシンプルな評価が有効です。特に「担当外の業務を拾ったか」「チームを助けたか」を評価項目に明記することで、静かな退職行動(自分のことしかしない)が低評価に直結することを可視化できます。 - 金銭以外の報酬(サンクスカード/称賛)
給与を上げにくい中小企業でも可能な方法が「承認」です。
デジタルツール(またはアナログなカード)を使い、些細な貢献に対しても「ありがとう」を可視化します。
これはコストゼロで「評価されていない」という不満を和らげる効果が期待できます。 - 具体的かつタイムリーなフィードバック
半年に一度の面談でなく、良い行動をした瞬間に「今の対応、すごく助かったよ」と具体的に伝えることも有効です。抽象的な「頑張れ」は逆効果です。
- シンプルな評価シート
原因②「理不尽な業務過多」への対策
「静かな退職」は、終わりのない業務量に対する自己防衛反応というケースもあります。
多くの経営者は「人を採用して解決しよう」とします。ですが、中堅・中小企業を取り巻く現在の採用難易度とコストを鑑みると、それは現実的ではない場合も多いでしょう。
- 対策:人が採用できない以上、「業務を減らす」ことしかありません。
- 業務の引き算の実践
業務を排除(Eliminate)、結合(Combine)、入替(Rearrange)、簡素化(Simplify)の視点で見直す。いわゆるECRSの4原則の実践です。 - 業務の断捨離
経営主導で「この会議は廃止」「この日報は不要」「社内資料の装飾は禁止」と、業務を捨てる決断(断捨離)をします。 - 効果
これらにより社員には「会社は私たちの負担を減らそうと努力してくれている」というメッセージが伝わります。これが信頼回復のきっかけになります。
逆に業務を減らさずに「もっと働け」「生産性を上げろ」と言ってしまうと、静かな退職を加速させることになります。
- 業務の引き算の実践
この業務過多への対策の難易度は高いと考えられます。そもそも経営者や管理職が、自分のためにやらせていた報告を不要と判断できるか?、長年の慣習となっている業務を捨てることができるか?との疑問があります。
そもそも、ECRSや業務の断捨離ができる組織であれば、業務過多を理由とする静かな退職は発生しないでしょう。
どれだけ危機感を持てるかがポイントです。
原因③「上司の無理解」への対策
「上司ガチャ」という言葉があるように、上司との関係性は退職の最大要因です。これは古今東西変わりません。部下は上司が「自分の話を聞いてくれない」「指示が理不尽だ」等と感じると、心を閉ざしてしまいます。
- 対策
- 「聞く」に徹する1on1
多くの管理職は面談を「説教」や「指示」の他、「進捗確認」等、自らが言いたいこと(したいこと)の場として活用します。
これを転換して、部下の話を聴く場として活用しましょう。部下の話を引き出すスキルや傾聴力も必要ですが、まずは何も話してくれないことへの恐れを克服することが重要です。面談時間の8割は「部下の話を聞くこと」に使ってみましょう。 - 信頼残高を増やす
「7つの習慣」で提唱される概念で、ご存じの方も多いと思います。日々の小さな約束を守る、礼儀を尽くす、誠実に謝るといった行動による信頼の貯金です。信頼残高がマイナスの状態では、どんな正論も部下には届きません。 - NGワードの排除
「常識だろ」「やる気あるの?」といった人格否定発言は、一発で信頼関係を破壊してしまいます。時には法的リスク(パワハラ)も招くため、当然厳禁です。決して感情的にならずにコミュニケーションを取るようにします。
- 「聞く」に徹する1on1
長年染みついた管理職の性格やマネジメントスタイルを変えることは、非常に困難です。そのため、この対策の実行難度も「極めて高い」と考えられます。
むしろECRSの4原則の実践の方が、難易度は低いでしょう。
どうしても変われない(部下を潰す)管理職は、プレイングマネージャーから「プレイヤー」へ戻す、あるいは部下を持たせないところに配置転換することが、組織全体を守るための合理的な判断になります。しかし、それが可能なら既に実行しているという声が聞こえてきそうです。言うは易し、行うは難しの典型ですね。
結局こちらも、どれだけ危機感を持てるかがポイントになります。
6.排除戦略:「代謝」の実行
予防策と対策を講じ、会社として改善の努力を尽くしてもなお、態度が変わらず組織に悪影響を与える人材については、毅然とした態度で「排除(代謝)」を進める他ありません。冒頭の通り、中堅・中小企業には、癌細胞のような静かな退職者のマイナス影響を看過することはできません。
ここでのポイントは、感情論ではなく「記録」と「プロセス」になります。
「働く環境は整えた。それでもやらないなら、それはあなたの責任だ」と言える状態(排除の正当性)を作った後に代謝を実行します。
フェーズ1:事実の積み上げ
代謝を実行するための最初のステップは、事実の積み上げです。
- 事実の記録
「〇月〇日、会議での発言なし」「業務Aの納期遅れ(理由:着手遅れ)」「〇〇案件の納期が遅れたことの報告なく、こちらから進捗確認の結果、遅延を報告」など、事実のみを記録する。
「やる気がない」「仕事が遅い」は単なる主観です。事実を記録し、これを数多く積み上げます。 - 指導の記録
口頭注意だけでなく、メールや書面で改善指示を残す。
これが積み上げた事実を強力に補強する証拠になります。
フェーズ2:教育・指導の実施
次のステップは、3ヶ月や1ヶ月など期間を区切って、具体的な数値目標を与え、達成度を管理します。この際、放置は厳禁です。業務遂行に必要な必要な教育を行い細かに指導し、それもまた記録するようにします。
これは、教育的指導を行うと同時に、「会社は十分なチャンスを与えたが、本人の業務遂行能力が不足しており改善しなかった」ことを証明することが目的です。
次のステップに進む前に、会社は必要な教育・指導を行ったというプロセスは必須です。
フェーズ3:退職勧奨の実行
フェーズ2まで完了すれば、いよいよ代謝の実行段階に移行します。
この点、日本の労働法制下での最適解は「合意退職」です。したがって、フェーズ3は自主的な退職を促す(=退職勧奨)フェーズになります。
「あなたの能力は当社では活きない。このままでは低い評価(給与減)が続き、お互いに不幸だ。環境を変えてはどうか?」など、フェーズ2の結果を元に社員と協議を行い、自主的な退職を促します。
このとき、「辞めろ」と強要すると、退職強要に該当してしまいます。ですので、表現には細心の注意を払いましょう。退職勧奨とは、あくまで会社からの提案(お願い) であり、従業員が退職に同意して初めて成立します。社員には、その勧奨に応じるか、拒否するかの自由があります。「提案」の形を崩さないことが重要です。
退職勧奨では、効果がないのでは?と感じられるかもしれませんが、積み上げた事実を突きつけられた社員は、もはやその会社に自らの居場所がないことは理解します。仮に退職勧奨に応じなくても、低評価(基本給の減少)を繰り返すことで、遅かれ早かれ社員自身から身を引いていくでしょう。
なお、考課が最低ランクでも給与が現状維持で減らない人事評価制度の場合は、必ず減るように設計し直しましょう。勤続年数で昇給していく制度も改めた方が良いでしょう。人事評価制度は、頑張った者・成果を出した者が報われる制度であるべきです。これが「静かな退職者」対策になります。
退職勧奨は、フェーズ4の一つ手前の打ち手です。あくまで合意に基づいて、円満な形で雇用契約を終了させることを目的として行われます。フェーズ4の「解雇」は会社と社員の双方に益がありません。
フェーズ4を避けるためにも、フェーズ3で決着できるよう全力を尽くすべきです。そのためには、退職金の上乗せなどの条件を付けるのも一つですし、勧奨に応じなかった場合のことにも触れながら協議するのも一つです。
なお、例えば「応じなければ解雇を検討せざるを得ない」という伝え方は、退職勧奨が違法な「退職強要」と見なされるリスクを高める可能性が高く、「どのように伝えるか」は顧問弁護士に相談のうえで慎重に進めるようにして下さい。
伝え方の例(ご参考)
- 現状のままであれば、会社としては配置転換や懲戒処分、最終的には解雇といった可能性も否定できませんが、まずは円満な退職という選択肢をご提案したいと考えています。
- もし退職勧奨にお応えいただけない場合、会社としては、〇〇という理由(例:業務命令違反、能力不足など)に基づき、今後の対応を進めることになります。
フェーズ4:最終手段としての解雇
退職勧奨に応じず、かつ組織への背信行為が甚だしく、これ以上看過できない場合にのみ、弁護士と相談のうえで解雇を検討します。
7.さいごに
「静かな退職」への対応は、組織が「成果を出すプロフェッショナル集団」であり続けるか、「権利だけを主張するぶら下がり集団」に成り下がるかの分岐点といえます。
「業務断捨離」や「管理職の変革」は、痛みを伴う改革です。ですが、原因を放置したまま「静かな退職者」だけを責めても、対症療法に過ぎず問題の根幹は解決しません。再発を防ぐためにも、原因にアプローチすることが重要です。
- 環境を整える
評価を見直し、無駄な業務を捨て、上司の意識を変える。 - それでも変わらない者を排除する
改善の機会を無視する者には、法的プロセスに則り退場を願う。
この両輪が揃って初めて、組織は健全な代謝機能を取り戻すことができます。
「静かな退職者」はますます増加し、今後の企業経営に与える影響が高まってくる恐れがあります。「静かな退職者」問題は、まさに今、危機感を持って対応に当たるべき重要課題として顕在化しているのではないでしょうか。
