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書評:『宇宙兄弟「制約主導」のチームワークで、仕事が面白くなる! チームの話』

書評
  • タイトル:宇宙兄弟「制約主導」のチームワークで、仕事が面白くなる! チームの話
  • 著者:長尾彰
  • 出版社:Gakken
  • 発売日:2025年8月7日
  • 定価:1,650円(税込)

【目次】
第1章 成長するチームは、「制約」をチャンスに変える
第2章 チームの成長を促す4つのリーダーのスタイル
第3章 チームの成長法則「チームメイキング編」
第4章 チームの成長法則「チームビルディング編」

本書の全体像

タイトルにある「制約主導」は、あくまでも前半部分のテーマです。

本書全体を通じたメッセージは「チームをどのように成長させるか」 というものであり、人気漫画『宇宙兄弟』の名シーンを随所に引用しながら、著者・長尾彰さんの約30年・3000回を超えるチームビルディングの経験に基づいた理論で構成されています。

なお、私は『宇宙兄弟』を読んでいないため、登場人物に例えた描写はいまひとつピンとこなかった部分もありました(苦笑)。それでも、チームワークやリーダーシップに関する本質的な内容は十分に伝わりましたので、宇宙兄弟ファンでなくても楽しめる一冊だと思います。

制約主導アプローチ(CLA)とは

「人の行動は制約によって影響を受けている」 という考え方に基づく「制約主導アプローチ(CLA:Constraint-Led Approach)」は、主にスポーツや教育の分野で「エコロジカルアプローチ」として取り入れられているものです。

たとえばサッカーでは、狭いスペースの中だけでしかプレーできないという制約を設けることで、ボールコントロールやポジショニング・判断力を集中的に鍛えることができることが、本書で紹介されています。

制約には次の3種類があります。

  1. 個人の制限
  2. 環境の制限
  3. タスクの制限

「環境の制限」の例として紹介されていた「立ったまま会議」は、時間と空間を節約する効果があり、実践的な取り組みとして素直に共感できました。

また「タスクの制限」の例として挙げられていた「チームの報告書を1ページでまとめる」という考え方は、トヨタが推奨するA3用紙1枚での資料作成にも通じるものです。制約があるからこそ、要点を絞った質の高いアウトプットにつながると、改めて感じました。

チームの発達段階:タックマンモデル

本書の核心とも言えるのが、チームの成長プロセスを示す 「タックマンモデル」 です。

本書では、以下の4つのステージを経て成長していくとして説明されていました。

なお、心理学者のブルース・タックマンが提唱したこのモデルには、5段階目として散会期(アドジャーニング)が存在しますが、本書では「どのようにしてチームを成長させるか」にフォーカスしているため、あえて触れていないのだと思います。

  1. フォーミング(同調期)
    チームが形成され、メンバーがお互いの様子をうかがっている状態。
    メンバーの状態は「依存・他責」。
  2. ストーミング(混沌期)
    意見の衝突や対立が生まれ、チームが揺れる時期。
    メンバーの状態は「自律」へ向かう途中。
  3. ノーミング(調和期)
    役割やルールが定まり、チームとして機能し始める段階。
    メンバーの状態は「共存・共栄」。
  4. トランスフォーミング(変態期)
    高いパフォーマンスを発揮できる成熟した状態。
    メンバーの状態は「統合」。

チームづくりの最大のポイントは、「フォーミング」でいかに心理的安全性を生み出し、「ストーミング」でいかに試行錯誤を促すか ということです。

そして、集団でやってみて学習する機会をどれだけ設けられるかが、チームの成長速度を左右します。

コミュニケーションの「量」と「質」

チームの成長段階によって、コミュニケーションの在り方を使い分ける必要があるという視点も印象に残りました。

  • フォーミング → ストーミングへの移行には、コミュニケーションの「量」が重要
    たくさん話すことが信頼を生みます。
  • ストーミング段階では、コミュニケーションの「質」が重要
    メンバーが本音で話し合い、互いの個性や役割への理解を深めることが求められます。

著者はこれを、単なる「会話」から 「対話」への転換 と表現しています。

自分が話すだけでなく、相手の話をしっかり聴くことが、チームを次のステージへ進める鍵になると言います。

リーダーシップスタイルを自覚する

本書では、リーダーシップを以下の4つに分類しています。

  1. ファシリテーター型:支援と促進が得意
  2. マエストロ型:職人肌で成果を出すのが得意
  3. ティーチャー型:教えて諭すのが得意
  4. コンサルタント型:専門的な知識で牽引するのが得意

どのスタイルが「正解」というわけではなく、チームの発達段階に応じて、自分の強みを活かしたアプローチを選ぶこと が大切というメッセージです。

「自分はどのタイプか」「今のチームには何が必要か」を考えるきっかけになる分類です。

制約を意図的に設計する

「制約」を単なる障害や不自由さとして捉えるのではなく、チームに次の5つの効果をもたらす意図的な仕掛けとして活用する という発想は、すぐに実務に取り入れられるヒントです。

  1. 目標達成への認識と協力の必要性を共有できる
  2. 役割分担と責任が明確になる
  3. コミュニケーションが活性化する
  4. 工夫と創造性が促進される
  5. 相互依存と信頼関係が構築される

たとえば、ミーティングを「立ったまま」にする、報告書を「1ページ以内」にするといった小さな制約から始めるだけでも、チームの動き方は変わってくるのではないでしょうか。

本書は、「制約主導アプローチ」と「タックマンモデル」という二つを軸に、チームがどのように成長していくかを説く一冊です。

「具体的な解決策や魔法のフレーズは載っていない」と著者自身もあとがきで述べている ように、本書はチームの「型」を押しつけるものではありません。

ですが、チームビルディングに悩む方にとって、「自分たちらしい関わり方を見つけるヒント」を提供してくれる本になっていると感じました。


宇宙兄弟「制約主導」のチームワークで、仕事が面白くなる! チームの話
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