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書評:『意味がわかる統計学』

書評
  • タイトル:意味がわかる統計学 まずはこの一冊から〔全面改訂版〕
  • 著者等:石井俊全
  • 出版社:ベレ出版(2024年3月刊)

「数学が苦手な人でも、検定・推定の本質を1時間で理解できる」というキャッチコピーに惹かれて手に取った一冊です。

統計学の入門書というと数式が並ぶイメージがありますが、本書はそのハードルを下げる工夫にこだわった構成になっています。

目次

はじめに
もくじ
この本の特徴

第1章
1 度数分布表、ヒストグラム
 1-1 データをグラフに整理しよう
    ─度数分布表、ヒストグラム
    COLUMN データの代表値
2 平均、分散・標準偏差
 2-1 データを特徴付ける3大指標
    ─平均、分散・標準偏差の公式

    COLUMN 分散と平均を結ぶ公式
 2-2 平均、分散・標準偏差をヒストグラムで実感しよう
    ─平均、分散・標準偏差の意味するところ
 2-3 データの数値に手を加えるとデータの平均、分散は?
    ─平行移動、定数倍のときの平均、分散
3 正規分布
 3-1 統計解析のなかで一番重要な分布
   ─正規分布
    COLUMN 偏差値
 3-2 正規分布が持っているすばらしい特徴
    ─再生性、中心極限定理

4 検定の考え方
 4-1 その仮説は正しいの?
    ─検定の原理と論法の型
 4-2 目的とデータの型に合わせて検定を選ぼう
    ─いろいろな検定
 4-3 検定結果が判断ミスを起こすとき
    ─第1種の過誤と第2種の過誤
    COLUMN 背理法と検定

5 推定の考え方

第2章
1 確率変数
 1-1 確率的にいろいろな数値をとるものを表すための記号
   ─確率変数X
 1-2 連続する数値に対しても確率変数が定められる

   ─連続型確率変数
 1-3 確率変数Xの平均・分散を求めてみよう

   ─確率変数Xの平均・分散
 1-4 連続型確率変数でも平均・分散はある!

   ─連続型確率変数の平均・分散
 1-5 X+a、bX、X+Yの平均・分散は?

   ─確率変数XのE(X)、V(X)についての公式

2 二項分布
 2-1 組合せの個数を表す記号C
   ─コンビネーションと道順
 2-2 5回投げたコインのうち、3回が表である確率

   ─二項分布の確率
 2-3 二項分布の平均、分散は簡単に計算できる!

   ─二項分布の平均と分散
 2-4 二項分布の極限が正規分布だ!

   ─ラプラスの定理
3 検定の応用
 3-1 既知・未知に気をつけて検定しよう
   ─母平均・母分散の検定
 3-2 2つの母集団の母平均・母分散は等しいか

   ─2つの母集団に関する検定
 3-3 母比率を検定しよう

   ─適合度・独立性の検定
    COLUMN 復元抽出と非復元抽出

4 推定の応用
 4-1 統計量は検定のときと同じ
   ─母平均・母分散・母比率の区間推定
    COLUMN 不偏分散はなぜn-1で割るのか

5 χ²分布、t分布、F分布
 5-1 検定・推定に使った確率分布を整理しよう
   ─χ²分布、t分布、F分布の定義
    COLUMN 自由度
    COLUMN ポアソン分布

第3章
1 2変量の統計
 1-1 関係の深さを数値で表す
   ─相関係数の定義と意味
    COLUMN 相関係数が-1以上1以下である理由

 1-2 2つの変量の関係を直線で表すには
   ─回帰直線の求め方

付録1 エクセルで統計量を計算しよう
   ─平均・分散から確率分布表まで
付録2 分布表
付録3 さらに学びたい人のためのブックガイド

おわりに
さくいん

身近な例による説明

推測統計学の核となる「推定」について、本書は「標本を調べることで母集団の状態を把握する」という定義的な説明だけで終わらせません。

選挙の出口調査やテレビの視聴率調査といった、誰もが耳にしたことのある具体例を挙げて説明している点が印象的でした。

こうした例示が随所に散りばめられており、初学者が抽象的な概念をイメージしやすいよう配慮されています。

各項末の手順まとめ

もう一つ評価したいのが、「区間推定の仕方」のように、各項目の最後に手順が簡潔にまとめられている構成です。

読み進めながら「結局どうすればいいのか」を見失いにくく、実際に手を動かして計算する際の道しるべになってくれます。

キャッチコピー通り、確かに第1章は工夫が凝らされており、読み進めやすい構成になっています。

ただし、ここで一つ注意点があります。「1時間で理解できる」というのは第1章に限った話であり、本書全体を1時間で読破できるという意味ではありません。

正直なところ、超がつく文系である筆者にとっては、1時間で本質を理解するにはほど遠く、途中でわからない箇所を都度調べながら読み進めることになりました。

工夫を感じる場面は多いものの、統計学に馴染みのない人が独力でスラスラ読み切れるかというと、それなりの時間と根気を要するというのが正直な感想です。

本書は、これから統計学を学び始める人にとって、取っ掛かりとしておすすめできる一冊です。身近な事例による説明や、各項末の手順整理など、「わかりやすさ」への工夫は随所に感じられます。

一方で、数学的な素養にあまり自信がない方――特に自分のような超文系タイプの方――は、「1時間で読める」という謳い文句を鵜呑みにせず、ある程度の時間をかけてじっくり向き合う覚悟を持って読まれることをおすすめします。

焦らず、不明点はその都度調べながら読み進めれば、統計学の「推定」と「検定」の本質にしっかりと近づける一冊だと思います。


[全面改訂版] まずはこの一冊から 意味がわかる統計学 [ 石井 俊全 ]
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